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Q.駐車場の整備や本堂の建て替えで、境内の墓石を移動させてもよいですか?
この記事の要点
- 墓石の移動には、必ず墓石所有者の同意が必要です。
- 同意なく移動させると、墳墓発掘罪に問われるおそれがあり、民事上の損害賠償が認められた裁判例もあります。
- 墓石を集団で移動させる場合は、宗教法人法23条の公告を忘れないようにしてください。
寺院の土地でも、墓石は寺院のものではない
墓地が寺院の境内地であっても、墓石は墓地使用者の所有物であり、墓地使用者は区画を使用する強い権利(永代使用権)を持っています。区画整理の必要があるからといって、寺院が一方的に墓石を動かすことはできません。
同意なく動かした場合のリスク
焼骨の納められた墳墓を所有者の許可なく掘り起こせば、墳墓発掘罪(刑法189条)に抵触する可能性があります。
寺院の費用で墓石を移動させ、お性根抜きも行っていた事案で、刑事責任は問われなかったものの、民事裁判で80万円の損害賠償が認められた例があります(東京地裁平成5年11月30日判決)。寺院としては善意の対応であっても、同意がなければ責任を問われるということです。
移動させるときの進め方
- ① 移動の対象となる墓石と所有者の一覧を作る
- ② 所有者一人ひとりに、移動の理由、移動先の区画、日程、費用負担(寺院負担とするのが通常)を説明する
- ③ 書面で同意をいただく
- ④ 閉眼供養・開眼供養を行う
移動先の区画は、元の区画と同等以上の条件とすることが、同意を得るうえでも大切です。所有者と連絡の取れない墓石が含まれる場合は、別途、所有者不明墓石の手続が必要になります。
宗教法人法23条の公告
墓石の集団移動は、境内地の著しい模様替えにあたる可能性があります。宗教法人法23条は、境内地の著しい模様替え等を行う場合、少なくともその1か月前に、信者その他の利害関係人に対して公告することを求めています。緊急の場合や軽微な場合は除かれますが、公告を怠ると過料の対象となり(同法88条)、境内地等に関する行為は無効とされるおそれもあります(同法24条)。規則に定める責任役員会の議決等もあわせて確認してください。